公務員を辞めるのは、安定を手放す大きな決断です。周りからは「もったいない」と言われ、自分でも「本当にこれでいいのか」と何度も迷う。夜に転職サイトを開いては閉じる。そんな日が続くと、心も体も疲れてしまいますよね。
はじめまして、「公務員のお悩み相談室」のうすけです。私は新卒で警察事務(給与担当)として働き、その後民間の広告会社に転職し、さらに政令市の市役所へ戻るという、公務員→民間→公務員の転職を経験しました。社交不安障害とうつ病で、休職を3回、退職を2回経験しています。
ネットで「公務員 民間 転職 後悔」と調べると、給与や安定性を比べた一般論はたくさん出てきます。でも、実際に両方の方向へ転職した人が、どちらを後悔して、どちらを後悔していないのかを書いた記事はほとんど見当たりませんでした。
この記事では、私の2回の転職を正直にお話しします。数字も失敗も隠さずに書きました。今まさに迷っているあなたが、後悔しない選択をするヒントになればうれしいです。
結論:後悔するかどうかは「どこへ行くか」より「どんな状態で決めるか」
先に結論をお伝えします。
- 1回目の転職(警察事務→民間)は、後悔しています。
- 2回目の転職(民間→市役所)は、後悔していません。
この差を分けたのは、「公務員か民間か」ではありませんでした。
1回目は、体調を崩して休職している最中に、焦りから転職を決めました。2回目は、給料・家族の意見・経験者の声といった具体的な条件を見て決めました。
公務員から民間への転職そのものが悪いわけではありません。後悔しやすいのは、心が弱っているときに、焦って、選択肢を狭めたまま決めてしまうことです。当時の自分に声をかけるなら、こう言います。
「焦るな、他の選択肢も広くみろ」
ここからは、そう思うようになった経緯を順番にお話しします。
私の転職の経歴:警察事務→広告業界→市役所
まずは、私がたどってきた道のりをまとめます。
| 時期 | 職場・できごと |
|---|---|
| 新卒 | 警察事務(給与担当)として採用 |
| 2023年7月 | 社交不安障害を発症し、休職 |
| 休職中 | Webマーケティングスクールに通う |
| 2024年4月 | 警察事務を退職(27歳) |
| 退職後 | 広告業界へ転職(広告運用コンサルタント・未経験) |
| その後 | 公務員試験を受け直し、政令市の市役所へ |
公務員歴は通算6年、公務員試験は計3つ突破しています。「公務員→民間」と「民間→公務員」の両方を経験したからこそ見えたことを書いていきます。
体験談①:警察事務から民間へ|後悔している転職
親友の死をきっかけに社交不安障害を発症
警察事務の仕事には、それなりに順調に乗れていました。同期の中には、出世のペースも同じだった親友がいました。
その親友が亡くなりました。
そこから、社交不安障害を発症しました。ちょうど異動の時期で仕事も忙しく、心と体がついていかなくなりました。そして2023年7月1日、休職することになります。
休職中の焦りから、スクールと資格に走った
休職中の私は、とにかく焦っていました。
その焦りから、資格を取ろうとしたり、Webマーケティングのスクールに通ったりしました。
今振り返ると、あのときの私は「回復すること」よりも「次の居場所を見つけること」を急いでいました。スクールの費用も高く、焦りから動いていたように思います。
そして2024年4月30日、警察事務を退職し、広告業界に広告運用コンサルタントとして転職しました。
正直に言うと、体調を崩していなければ、転職はしなかったと思います。
民間に転職して後悔したこと
やりたいことを仕事にできた一方で、想像していなかった苦労もたくさんありました。
① 年収が100万円近く下がった
いちばん大きかったのはお金です。年収は100万円近く下がりました。のちに公務員へ戻る理由のひとつにもなりました。
② 残業しても給料が増えない
転職先では、残業代があらかじめ見込みの時間分だけ給料に含まれている仕組みでした。そのため、残業しても給料は変わりません。残業時間自体は、警察事務のころより月平均で10時間ほど減りました。残業時間が減ったのは良かったものの、残業した分が給料に反映されない点は、年収が下がったこととあわせて気になるところでした。
③ 未経験で、覚えることが山ほどあった
スクールに通っていたとはいえ、実務は未経験です。覚えることがたくさんありました。公務員から民間へ移る場合、多くの人が「未経験の業界・職種」からのスタートになるので、ここは覚悟しておいたほうがいいポイントです。
④ 福利厚生が下がった
有給休暇や時短勤務などの制度は、公務員のころより手薄になりました。公務員の福利厚生は、辞める前は当たり前に感じやすい部分です。転職先を選ぶときは、給料だけでなく制度面も比べておくことをおすすめします。
⑤ 若いノリやイベントについていけなかった
社内の雰囲気は若く、イベントごとも多い職場でした。私はそのノリについていけませんでした。
⑥ 人間関係が一からになる
転職すると、人間関係はゼロからのスタートです。前の職場で築いた関係も、気軽に相談できる相手も、すべてリセットされます。人づきあいに不安がある人にとっては、見落としがちですが大きな負担です。
それでも民間で良かったこと
もちろん、悪いことばかりではありませんでした。
- 東京の中心地で働く優越感:都心のオフィスで働いていることに、ちょっとした誇らしさがありました。
- 時間の縛りがゆるい:昼休みの時間などがきっちり決まっておらず、自由度が高かったです。
- やりたいことだったので楽しかった:自分で選んだ分野の仕事は、純粋に楽しいと感じられました。
「楽しい」と思える仕事ができたのは、民間に行ったからこそです。それでも1回目の転職を後悔しているのは、決め方に問題があったからだと思っています。
体験談②:民間から市役所へ|後悔していない転職
公務員に戻ると決めた3つの理由
民間で働くうちに、もう一度公務員を目指すことを考えるようになりました。理由は3つです。
- 給料が下がったから:民間に移って、年収が100万円近く減っていました。
- 妻が勧めてくれたから:妻が、公務員に戻ることを勧めてくれました。
- 同じ道を歩んだ同期の話を聞いたから:警察を辞めて市役所に転職した同期がいて、「良かった」と話していました。
1回目の転職は、自分ひとりで焦って決めました。2回目は、数字(給料)・家族・経験者の声という、自分以外の視点も入れて決めています。ここが大きな違いでした。
試験勉強については、このときも休職中だったので、勉強時間は確保できていました。
市役所に戻って良かったこと
いちばん大きいのは、給料が上がったことです。2回目の転職を後悔していない一番の理由はここにあります。
残業も少なく、「安定は強いな」と素直に感じました。給料が上がり、残業も少ない。この安定は、民間を経験したからこそ価値がわかりました。
それでも「民間の方が良かった」と思うこと
一方で、市役所の仕事は、自分がやりたいことというより、日々のルーティンが中心です。正直、興味を持てない業務がほとんどです。
「やりたいことができる」という点では、民間の方が良かったと感じています。どちらにも良い面と悪い面がある。これが両方を経験した私の実感です。
両方を経験してわかった「公務員」と「民間」の違い
私の経験をもとに、公務員と民間(私が働いた広告会社)を比べてみます。あくまで私個人の場合なので、職場によって違いはあります。
| 項目 | 公務員(警察事務・市役所) | 民間(広告会社) |
|---|---|---|
| 年収 | 高かった | 100万円近く下がった |
| 残業時間 | 市役所は少なめ | 警察事務のころより月平均10時間ほど減った |
| 福利厚生 | 手厚い | 有給・時短などが手薄に |
| 残業代 | ― | 見込み時間分が給料に含まれ、残業しても変わらない |
| 時間の縛り | ― | 昼休みなどゆるい |
| 仕事内容 | 興味のないルーティンも多い | やりたいことで楽しかった |
| 職場の雰囲気 | ― | 若いノリ、イベントが多い |
| 人間関係 | ― | 一からのスタート |
こうして並べると、「お金と安定」を取るなら公務員、「やりたいこと」を取るなら民間という構図が見えてきます。どちらが正解というより、自分が何を一番大事にしたいかで答えが変わるのだと思います。
公務員から民間への転職で後悔しやすい人の特徴
私の失敗をふまえて、公務員から民間への転職で後悔しやすいパターンをまとめます。
心身が不調なまま、大きな決断をしてしまう
私がまさにこれでした。体調を崩していると、「今の職場から離れたい」という気持ちが強くなり、冷静に比べることが難しくなります。転職したい理由が「逃げたい」だけになっていないかは、一度立ち止まって確認してほしいポイントです。
「やりたいこと」だけで選び、条件を比べていない
やりたい仕事ができるのは素晴らしいことです。でも、年収・福利厚生・残業代の仕組みまで比べていないと、あとで「こんなはずじゃなかった」と感じやすくなります。私も、仕事は楽しかったのに、年収の減少が戻る理由になりました。
焦りから、お金と時間を使いすぎてしまう
休職中や転職を考えているときは、「何かしなければ」という焦りが出やすいものです。スクールや資格そのものが悪いわけではありません。ただ、焦りを消すためにお金を使っていないかは、一度考えてみてください。
人間関係リセットの負担を軽く見ている
「今の人間関係がしんどいから辞めたい」という人は多いと思います。でも、転職先ではまた一から人間関係を作る必要があります。人づきあいが苦手な人ほど、ここは想像以上に大変です。
公務員の転職で後悔しないためにやっておきたいこと
体調が悪いなら、まず療養を優先する
今、心や体の調子が悪いなら、転職活動より先に休むことを考えてください。公務員には、病気休暇や休職といった制度があります(期間や条件は勤め先によって異なるので、人事担当や規程で確認してください)。
私は、キャリアにも乗れていたのだから、焦らずに体調が回復するまで療養し、復帰する道を選べば良かったと思っています。「辞める」は、回復してからでも選べます。でも、一度辞めると元の職場には戻れません。
年収は「額面」だけでなく、仕組みまで比べる
転職先の年収を見るときは、次の点も確認しておくと安心です。
- 残業代は実際の時間分つくのか、見込み(みなし)で給料に含まれているのか
- 有給休暇の取りやすさ、時短勤務などの制度はあるか
- 賞与や各種手当はどうなっているか
私のように「年収が100万円近く下がった」とならないよう、今の給与明細と並べて比べてみてください。
家族や、同じ道を歩んだ人に話を聞く
1回目の転職は、自分ひとりの頭の中で決めてしまいました。2回目は、妻の意見と、市役所に転職した同期の話が後押しになりました。
悩んでいるときほど、視野は狭くなります。信頼できる人の目を借りることは、後悔しない選択をするための大事な一歩です。
「公務員に戻る道」もあると知っておく
もし民間に転職して「やっぱり違った」と感じても、人生が終わるわけではありません。公務員試験には、社会人経験者を対象にした採用枠を設けている自治体もあります(年齢制限や受験資格は自治体ごとに違います)。
私自身、一度公務員を辞めてから、もう一度公務員に戻りました。やり直しはできる。そう知っておくだけでも、決断へのプレッシャーは少し軽くなるはずです。
民間から公務員への転職でも「後悔」はある
ここまで読んで、「じゃあ公務員に戻れば正解なの?」と思った人もいるかもしれません。でも、民間から公務員への転職にも、後悔につながりやすいポイントはあります。私の実感と、一般的に言われていることをあわせて整理します。
やりたい仕事ができるとは限らない
私が市役所に戻って感じたのは、まさにこれです。公務員の仕事は、日々のルーティンが中心になりやすく、配属先も自分では選べません。民間で「やりたいこと」を仕事にしていた人ほど、物足りなさを感じる可能性があります。
年収が上がるかどうかは人による
私の場合は、民間から市役所へ戻って給料が上がりました。ただ、これは私の前職の年収が下がっていたからでもあります。民間での経験がどこまで給料に反映されるかは、自治体や職種によって違います。受験する前に、募集要項や初任給の目安を確認しておくと安心です。
試験勉強の時間をどう確保するか
公務員に戻るには、あらためて試験を受ける必要があります。私はこのとき休職中だったので勉強時間を確保できましたが、働きながら勉強する場合は、時間のやりくりが大きな課題になります。社会人経験者向けの試験は、教養試験の範囲が絞られていたり、論文や面接の比重が大きかったりすることもあるので、受験先の試験内容を早めに調べておきましょう。
異動や組織のルールに慣れ直す必要がある
公務員は数年ごとに異動があるのが一般的で、仕事内容ががらりと変わることもあります。また、民間のようなスピード感や自由さは少なく、決まった手続きやルールに沿って進める場面が多くなります。民間のゆるさや自由さに慣れた後だと、窮屈に感じる人もいるかもしれません。
転職を決める前のセルフチェック
公務員から民間へ、あるいは民間から公務員へ。どちらの方向でも、決める前に次の項目を確認してみてください。私が1回目の転職の前にできていなかったことばかりです。
- 今、体調は安定しているか(眠れない・食べられない状態で決めていないか)
- 転職したい理由は「逃げたい」だけではなく、「行きたい理由」もあるか
- 転職先の年収を、今の給与明細と具体的に比べたか
- 残業代の仕組み(実際の時間分か、見込み分か)を確認したか
- 有給休暇や時短勤務などの制度を比べたか
- 家族やパートナーに相談したか
- 同じ転職をした経験者の話を聞いたか
- 「今の職場にとどまる」「休職して回復を待つ」という選択肢も考えたか
- スクールや資格にかけるお金は、焦りを消すためになっていないか
当てはまらない項目が多いなら、今はまだ決めるタイミングではないのかもしれません。決めないことも、立派な選択のひとつです。
よくある質問
Q. 休職中に転職活動をしてもいいの?
A. してはいけないわけではありません。私も休職中に転職を決めました。ただ、私自身はその転職を後悔しています。休職中は、焦りや不安で判断がぶれやすい時期です。まずは体調の回復を優先し、主治医とも相談しながら、動くタイミングを見きわめることをおすすめします。
Q. 一度公務員を辞めても、また公務員に戻れる?
A. 戻ることは可能です。私も一度辞めてから、市役所に戻りました。ただし、あらためて公務員試験に合格する必要があります。年齢制限や受験資格は自治体・職種ごとに違うので、受けたい自治体の募集要項を確認してください。
Q. 転職のためにスクールに通うべき?
A. 目的がはっきりしているなら、選択肢のひとつです。私はWebマーケティングスクールに通い、未経験から広告業界に転職できました。一方で、費用は高く、焦りから通ったことは反省点でもあります。「なぜ通うのか」「その費用に見合うのか」を、落ち着いて考えてから決めてください。
Q. 公務員と民間、結局どちらがいいの?
A. 両方を経験した私の答えは、「何を一番大事にしたいかによる」です。私にとっては、お金と安定が大きかったので、今は公務員に戻って後悔していません。でも、やりたいことを仕事にしたい気持ちが強い人なら、民間のほうが満足できるかもしれません。
すでに「転職を後悔している」あなたへ
この記事を読んでいる人の中には、もう民間に転職して、後悔している人もいるかもしれません。
まず伝えたいのは、後悔している自分を責めなくていいということです。あのときのあなたは、あのときの状況の中で、精一杯考えて決めたはずです。私も1回目の転職は後悔していますが、あの経験があったから、今は「お金と安定の大切さ」も「やりたい仕事の楽しさ」も、どちらも知ることができました。
そのうえで、次の一歩は焦らずに決めてください。今の職場でもう少し頑張るのか、別の民間企業を探すのか、公務員に戻るのか。どれを選ぶにしても、体調を整えて、選択肢を広く見てからでも遅くはありません。
まとめ:焦るな、他の選択肢も広くみろ
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 私は公務員→民間→公務員と転職し、1回目は後悔、2回目は後悔していない
- 1回目の後悔の原因は、体調を崩した休職中に焦って転職を決めたこと
- 民間では年収が100万円近く下がり、福利厚生も手薄に。一方で、やりたい仕事は楽しかった
- 2回目は、給料・家族の勧め・経験者の声をもとに決め、給料が上がり安定も得られた
- 公務員は「お金と安定」、民間は「やりたいこと」。何を一番大事にするかで答えは変わる
- 体調が悪いなら、転職よりもまず療養。辞めるのは回復してからでも遅くない
公務員から民間への転職で後悔するかどうかは、行き先よりも「どんな状態で、何を基準に決めたか」で決まると、私は思っています。
もし今、あなたが焦っているなら、当時の自分に言いたかった言葉をそのまま贈ります。
「焦るな、他の選択肢も広くみろ」
あなたが納得できる働き方にたどり着けるよう、心から応援しています。


